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奥飛騨温泉と西穂高の旅


★奥飛騨温泉と西穂高の旅
                                             中井 信也

社友会20周年記念企画『山と渓谷の会』2泊3日「奥飛騨温泉と西穂高の旅」は、会員の温泉旅行など要望をいれ、女性1名を含む23名が9月5日朝、新宿南口に集合しバスで出発しました。
バスは中型のサロンカー、車中でガイド役の菊地さんから日程が伝えられ、一路上高地へ。 中央高速を経て山岳地帯に入り、ダムに繋がる古く狭い隧道は、バス同士がすれ違うのも神業。 このような隧道を十数回越えると眼下に大正池が、それから先はバスの行列、駐車場に着けず全員徒歩で河童橋を目指します。 夏開きで有名なあの橋の上も観光客で一杯、澄んだ川とそそり立つ美しい山々、人を避けて景色を撮るにも苦労します。

          上高地 焼岳をバックに筆者


今夜の宿、平湯温泉の『藤屋』は黒光りした廊下がきしむ古い作りの旅館。 風呂は源泉かけ流しの透明な湯、少しくたびれた総檜作り風呂で汗を流します。 夕食は天井がすすけて黒く、太い欅のはりが重なる大広間で、地元の飛騨牛が炭火で焼かれ、焼酎や地酒で盛り上がりました。
2日目 今日はいよいよ山登りの本番。 8時すぎ、北アルプスの玄関口、新穂高ロープウエイで目前の山を一気に登ると、大きなガラス越しに下界が開け、周りには名の知れた山々が姿を現します。 十数分で終点の西穗高口駅に到着。 そこには屏風絵のような北アルプス連山が、われわれをぐるっと取り囲み、写真やテレビでしか見たことのない槍ヶ岳、北穂高岳、奥穂高岳などの山々が雲間に眺める事が出来ます。 わが登山隊は、この連山の裾の方にある「西穂山荘(2385)」と「独標(2701)」目指します。 70才代のおじさん登山隊は、各自の体力判断で西穂山荘までの組と、更に遠い独標までの健脚組に分かれました。 独標を目指す女性を含む体力派は、早々に私たちを抜き去り険しい山道の中へ。 一方、ゆっくり組は、2時間ほどかけて西穂山荘まで健脚組と同じ道を辿ります。 今年は、山岳地帯とはいえ気温が高く、息が切れる毎に休憩を挟みながら、急な坂道に転がる岩石に一歩々足を持ち上げる動作を続けます。 度々、若者や女性に抜かれ、上から下りてくる人に「あと15分」と励まされ、かなり登った後に、また「もう直ぐそこ。 あと15分」と下山者に告げられると本当に疲れます。 独標組が岩石の多い急峻なルートと格闘している間に、われわれは終に、西穂山荘に到着、晴天の心地よい風に汗ばんだシャツにさらし、上がった息を鎮めます。 十分休憩したあとおにぎりの昼食、間もなく、気にかけていた独標アッタク隊から6人全員登頂成功の知らせ、おめでとう。 われわれも独標組より低いが、北アルプスの片隅に登ったという達成感は十分ありました。 帰ってからも、今年は北アルプスに登ってきたと自慢できるかな。

                     奥飛騨温泉 新平湯 藤屋 





2日目の宿、北アルプスを背に高山市内を見下ろす高台にある『高山観光ホテル』。 一行は各自の部屋割りのあと、登山の疲れを癒すため高山温泉の湯に体を沈めます。 ゆかた姿で部屋にもどれば、各自の近況や病歴の披露、携帯した薬比べなど、夕食を待ちます。 飛騨の山に日が落ち、見下ろす高山の街に灯が点るころ、大広間の宴席には、ほうば味噌で焼いた飛騨牛、鮎の塩焼き、地元の珍味などが並びます。 芸者こそいませんが、昼の疲れも忘れて元気な宴会、余興には尺八の独演、太極拳も披露され、今日も酒盛りが延々とつづきました。

                   白川郷展望台

  
最終日 高山から50分「白川ク」へ。 ここはユネスコの世界遺産に登録された岐阜県白川村の合掌造りの集落。 独特の三角形、厚みのある藁葺き屋根を持つ大型木造住宅、特に重文の和田家が観光客の目を引きます。 この集落でも至る所で、古い世界遺産と「現代」が混在しており、ポスターで見たような幻想的な写真を望んでも、「現代」を除いて撮れるポイントは少ないようです。 丘の上から部落全体を見渡す風景が、「現代」を小さくし、世界遺産らしい白川クを代表していると思えました。 このあと、高山ラーメン、飛騨牛串などを賞味し帰途につきました。
この3日間の旅で、怪我もなく皆無事で帰ることが出来て本当によかったし、翌日は台風の影響で雨、1日遅れたら大変、ラッキーでした。 この旅を企画された世話人の方に拍手を送りたいと思います。




    
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