佐藤眞一  
 
 9月12日、朝9時50分に青梅線御嶽駅前に集合した21名の老年軍団の顔は、不安げな様子。それもそのはず、『山と渓谷の会』の秋の例会で御岳山の散策を楽しむその日に限ってそれまで続いていた晴天続がこの日以降も晴れの予報なのに、当日の午後はピンポイントで崩れると言う予報が出ていたのです。
  実際、パラパラと小雨も降り、一同の顔は更に曇りました。それでも御嶽駅からバスに乗りケーブル・カー搭乗駅では一人一缶宛の缶ビールを求め、御岳山に向かいました。
  ケーブル・カーを降りると雨は小康を保ち、この状態が続くことを願いながら急ぎ武蔵御嶽神社を目指します。神社下の鳥居の所で一礼し、幹事から配られた御岳山散策マップを手にまずは長尾平に向かいました。そこは天候の具合ではコース変更を決める地点です。

 曇天ながら天候が持つことを望み、ここから分岐し谷に下る坂道に入り、七代の滝を目指しました。路は狭く曲がりくねって、帰路はこの道を登るのかと思うと復路が不安に成るような急坂です。そんな気持ちを抑えながら我々老年軍団が急坂を下っていると、何と逆にその坂道を一人で登って来る老年?の女性に遭遇。聞くと、何と更に下の上養沢バス停から登って来たとのことで、そのパワーに圧倒されながらエールを送り、急坂を下り終わった先に見た七代の滝は、パンフレットの写真は何だったの?と異口同音に呟きが漏れる程に小振りな滝でした。


 ガックリしながら老年軍団は小休止。一息入れて気を取り直し今度は昼食予定のロック・ガーデンを目指し再出発。幸い、先に下ったルートを戻るのではなく、急勾配ではあるが鉄梯子が設えられたルートで天狗岩と称される場所へ息を弾ませながら登り、天狗岩には鎖場が設けられ、その大岩に登ると岩の上には1メートル弱の天狗の像が二体祀られていました。この天狗岩の場から更に緩やかな
アップ&ダウンを繰り返す路を辿りようやく休憩場も配置されているロック・ガーデンに到達。早速、先程配られた缶ビールで乾杯し昼食を摂ることに。この昼食で英気を取り戻した老年軍団は、七代の滝への分岐点となった長尾平への帰路のコースに踏み出しました。
 十数分程登った時に、白木の鳥居が設けられ奥に滔々と流れ落ちる綾広の滝に行き着きました。その趣は小休止をした七代の滝とは大いに異なり、山岳修験の滝行を行うのに相応しい雰囲気を漂わせる場所で、中には不良老年としての思いを口にする人もいたものの、皆夫々、何らかの願いを懸けたのではないかと想像される霊気溢れる場でした。その後は、緩やかで幅も広く歩き易い坂道を一途、長尾平へ。
 先程の急坂への分岐点となった長尾平で小休止した後、天候を気にして参拝をしなかった武蔵御嶽神社に登り、曇天ながら天候が持ってくれたこととメンバーの無事を感謝し、参拝も済ませました。

 記念の集合写真は、シャツターは外人参拝者に押してもらうなど顔も気持ちも晴れやかに、行きは怪しい空模様に路を急ぎ、また神社までの急勾配に喘ぐ中で見過ごしていた茅葺屋根の宿坊が散在する御岳の風景に改めてその素晴らしさを感じながらケーブル・カー駅に向かう途中、菊地幹事の口から、『家内に可笑しいと言われたけど、今朝、照るテル坊主を作って来たんだよ』の一言。
 これには老年軍団一同、幹事の執念に感動するとともにその照るテル坊主の験の大きさに心から感謝した一日でした。